正しいという字は一つ止まると書く(名言2)
JUGEMテーマ:人生論
「正しいという字は一つ止まると書く」
これはかつての人気ドラマ、「3年B組金八先生」で話題になった武田鉄矢さんの名台詞です。ドラマの中での発言ですので、厳密には武田さんの名言ではなく、シナリオライターの名言ということになりますが、あの金八先生が諭すようにこの言葉を呟く時、人は劇中の人物と実在の人物の境を見失い、この名言に宿る言霊が心の中でスパークするのです。
「正しいという字は一つ止まると書きます。一つ止まって正しい判断のできる人になって下さい」が全文でした。まさに正鵠を射た至言といえます。
人生における失敗の大半は、性急な判断から生じるものです。勝手な思い込みや思慮を欠いた判断が大きな過ちを呼び込みます。如何なる状況においても、あらゆる角度から考察し、最も不自然さのない合理的な解釈が正解となりやすいのですが、この多角的な考察を省いて、一瞬の思い込みに支配されて動く人は騙されやすい人でもあります。
ここで金八先生の言葉とは一見、正反対に見える名言を紹介します。
直感精読・・・将棋の加藤一二三九段(通称ヒフミン)が好んで色紙に揮毫する言葉です。戦前、戦中生まれの人で加藤九段のことを知らない人は皆無に近いでしょう。かつて「神武以来の天才」と呼ばれた加藤九段は14歳でプロデビューを果たした後、破竹の勢いで毎年昇段を続け、なんとノーストップでA級八段の座を射止めました。この時、弱冠18歳。この大記録はいまだに破られていません。現代の天才棋士、羽生善治三冠ですらA級入りしたのは22歳の時でした。
最近の加藤九段はさすがに加齢から来る棋力の衰えが目立ち、不本意な成績に甘んじていますが、マスコミを過熱化させた猫裁判やバラエティー番組へのレギュラー出演などを通じて、再びスポットライトを浴びるようになりました。高潔な人格、温かい人間性、抜群のユーモアセンスなどで将棋を知らない人まで魅了し、ひょっとすると、人気ナンバーワンの棋士かもしれません。
さて、加藤九段によれば、才能のある人は盤上の最善手を直感的に見抜けるそうです。しかし、その直感に狂いがないかどうかの検証作業が必要であり、直感で見つけた手に深読み(精読=熟考)を入れ、揺ぎない確信とともに指すことが勝利への近道であるといいます。ある側面では、金八先生の言葉と矛盾するようですが、二つの言葉はいずれも一つの真理を違う表現で表したものです。
ある事柄に関して、インターネット上に相反する情報があったとします。それが共産主義は是である、非であるというような命題であれば、相反する情報は異なる陣営の思想の相違にすぎず、どちらを支持するかは各自の自由となります。「今のプロ野球はつまらない」、「今のプロ野球の方が昔よりも面白い」というような相反する情報は思想というよりは見解の相違です。思想の相違であれ、見解の相違であれ、どちらを支持しようが各自の自由です。
しかし、「太陽は東から昇る」、「太陽は西から昇る」というような正反対の情報はどちらかが誤った情報ですので、白黒つけなければなりません。有名企業の人気商品が客観的に見て優れたものかどうかというような議論も同様です。これはもはや好みやの問題ではなく、イデオロギー的な問題でもありません。
つまり、答えを出す道程で「論証力」が問われます。たとえば、ある化粧水の評判がすこぶる良く、それを買おうとした途端に「その化粧水は誇大宣伝である」、「その化粧水には人体に極めて有害な物質が含まれている」というような不穏な情報に出会ったとします。識者の意見を聞きたくても周囲に適格な人物がいなければ、専門知識がなくても、自分の頭で最終的な評価を下さなければなりません。
このような場合、まずは直感の出番となります。
「どちらかが虚偽の情報である」
「どちらも正しい情報であり、一方はその商品のプラス面を、他方はその商品のマイナス面を述べている」
このいずれかが真実となります。この二者択一の問題を人生経験などに照らし合わせ、一瞬にして解かなければなりません。まさに直感的に嗅ぎ分けるのです。それこそ真の化粧水の匂いを嗅ぎ分けるように。
そして、どちらかが虚偽の情報であると判断した場合は、次に直感の「精読」作業に入ります。冷静な人ならば、次のような視点で検証を行うことでしょう。
(1)数の上ではどちらの情報が優勢か?
(2)どちらの情報が信頼に値する根拠を持つか?
(3)どちらの情報発信者の方が評判が悪いか?
(4)虚偽の情報を流さなければならない背景は何か?
(5)虚偽の情報によって誰がどのような形で益するのか?
このように丹念な検証を行い、それらを統合して導き出された結論に不自然さがなく、辻褄が合う時、その判断は高確率で的確なものとなります。金八先生の「一つ止まる」とは、このことをいうのです。直感精読も「一つ止まる」ということも結局は同じことを言っています。
パチンコ攻略においても同じです。雑多な情報が錯綜する中、直感的に本物と偽物を識別し、正しい情報(滅多にないのが残念なことですが・・・)に従って腕を磨き、いろいろなノウハウを習得した後は、それに自分流の味付けを施し、独自の攻略スタイルを構築することが求められます。
「ローマは一日にしてならず」という有名な諺がありますが、最強攻略法・海殺しXもその完成を見るまで気が遠くなるような時間を要しました。幾つかの特異な現象に着目し、その意味を読み解くうちに、
大河のような攻略体系 が誕生したのです。
私は仕事柄、出版業界の人たちと頻繁に会います。数年前、ある酒席で海殺しXの話に触れた時、「出版を検討して下さいませんか」という有難いオファーをいただきました。自分の著書を世に出せる喜びに少し興奮気味な私でしたが、すぐに我に返り、数日後に正式にお断りした経緯があります。
作家の林真理子さんの話によれば、今の時代、ご自分の著書が5万部売れただけでも大ヒットの扱いになるそうです。林さんほどの著名人でさえ、5万部の売り上げに万歳するのです。知名度のない私に至っては、運良くその本が評判を呼んだとしても、どんなに頑張ったところで1万部が精一杯でしょう。
一冊千円の本を10パーセントの印税で契約したと仮定して、1万部売れたとしても100万円にしかなりません。本の執筆に費やす膨大な時間を考えれば、執筆する代わりに海殺しXで稼いだ方が遥かに早くその金額に届きます。
又、その本がきっかけとなり、万一、ホールに異変が生じたとすれば、非常に厄介なことになります。
このオファーをお断りする時、私はずうずうしくも「パチンコ以外の別のネタで本を書かせていただけないでしょうか」と編集者に打診してみました。しかし、「あなたからパチンコ(海殺しX)を取ったら何も残らない」とストレートに言われ、あえなく撃沈してしまいました。どうやら私はパチンコでしか評価されない男のようです。
リヴィエラ倶楽部 佐々木智親(海殺しX 開発者)
- 2013.08.08 Thursday
- 人生を変える名言の力
- 11:13
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- by 佐々木智親